⚠️ ここの心電図はすべてファントム(合成)心電図です。実際の患者さんの記録ではなく、文献の判定基準(どの誘導でSTが上がる・下がるか)をもとに、プログラムで波形を組み立てています。毎回すこしずつ形が変わります。急性期(発症早期)の典型例として単純化し、学習しやすいようにST-T変化を強調しています(「強調」で調整、×1が文献の目安に近い大きさ)。実際の心電図はもっと多様です。紙送り 25mm/秒、感度 10mm/mV。
📏 STEMIのST上昇の基準:隣りあう2誘導で J点 1mm以上(V2・V3 は男性40歳以上 2mm、40歳未満 2.5mm、女性 1.5mm)(第4版 心筋梗塞の世界共通定義 UDMI 2018)。出典の一覧は各症例の「文献」にリンクがあります。

🔎 aVR のST上昇を見たら(2つのしくみ)

① 心室中隔の基部の貫壁性梗塞基部の真上を見る aVR でST上昇。鏡像で II・III・aVF がST低下。
原因:左主幹部(LMT)・LAD近位部の閉塞(Yamaji 2001、Nikus 2008)
手がかり:前壁・側壁・心尖部(I・aVL・V2〜V6)のST上昇を伴えばこちら
② 左室全体の心内膜下虚血R波の大きい誘導(II・III・aVF・V4〜V6)でST低下。その鏡像で aVR が上昇。
原因:重症3枝病変、相対的虚血(頻脈性不整脈・急性の貧血・低酸素・低血圧など(LITFL、UDMI 2018))
手がかり:aVR(とV1)以外にST上昇がない
aVR ST上昇 1mm以上(目安)→II・III・aVF のST低下は?→ほかにST上昇あり → ①/なし → ①か②か区別できない→頻脈性不整脈? → まず頻脈を治す→貧血がないか確認 → カテを検討(ショック・心不全など超高リスクなら緊急)

どちらも重症のことが多く、この所見のある例の院内死亡率は高い(Harhash 2019)。ただし急性の冠動脈閉塞は約1割にとどまり(Harhash 2019)、もともとの心電図(左室肥大など)のこともある(Knotts 2013)。右脚ブロックではSTをQRSの終わり(J点)から測る(UDMI 2018)。流れ図は ESC 2023(6誘導以上のST低下+aVR/V1上昇)・JCS 2018 をもとに整理した目安です。
文献:Byrne RA, et al. 2023 ESC Guidelines for the management of acute coronary syndromes. Eur Heart J 2023;44:3720-3826. / 日本循環器学会. 急性冠症候群ガイドライン(2018年改訂版). / Yamaji H, et al. J Am Coll Cardiol 2001;38:1348-1354. / Nikus KC, et al. J Electrocardiol 2008;41:626-629. / LITFL: ST Elevation in aVR. / Thygesen K, et al. Fourth Universal Definition of MI. Circulation 2018. / Harhash AA, et al. Am J Med 2019;132:622-630. / Knotts RJ, et al. J Electrocardiol 2013;46:240-248.

ここを見る(所見)

判定のポイント

    心エコー・ダンジョンとのつながり

    影響をうける左室の部位

    濃い色=主に影響をうける部位(典型例。冠動脈の支配には個人差がある)。分画は AHA 17分画(Cerqueira 2002)