📖 はいずかん(呼吸機能検査)
ことばの意味
| ことば | 意味 | 判定の目安 |
| 肺活量(VC) | 思いきり吸ってから、ゆっくりはき切った空気の量(L=リットル)。 | — |
| %肺活量(%VC) | 肺活量 ÷ 同じ性別・年齢・身長の人の予測値 × 100。肺の「大きさ」の目安。 | 80%未満 → 拘束性(日本呼吸器学会・標準手順書) |
| 努力性肺活量(FVC) | 思いきり吸ってから、一気に勢いよくはき切った量。 | — |
| 1秒量(FEV1) | FVCの検査で、はじめの1秒間にはいた量。 | — |
| 1秒率(FEV1/FVC) | 1秒量 ÷ 努力性肺活量 × 100。空気の通り道(気道)の「通りやすさ」の目安。 | 70%未満 → 閉塞性(日本呼吸器学会・標準手順書) |
| 最大呼気流量(PEF) | はいた空気のいちばん速い勢い(L/秒)。立ち上がりの勢い(努力)で大きく変わる。(ATS/ERS 2019) | — |
1秒率の分母は FVC(ゲンスラーの1秒率)(標準手順書)。COPD の診断は「気管支拡張薬を吸入した後」の1秒率(70%未満)で行います(日本呼吸器学会 COPDガイドライン 第6版)。70%のような固定の線は高齢者などで判定がずれやすく、年齢をふまえた「正常下限(LLN)」も使われます(ERS/ATS 2022)。
換気障害の4分類
正常:三角形閉塞性:下にへこむ拘束性:小さいが形は保たれる上気道閉塞:てっぺんが平ら
閉塞性(COPD・ぜんそく など)気道がせまく、空気が出にくい。はじめは勢いよく出ても、すぐに流量が落ちて、曲線が下にへこむ。はき切るのに時間がかかる。1秒率が下がる。ぜんそくは発作がない時には正常のこともある。(形:ERS/ATS 2022、ぜんそく:ERS 2022 喘息診断ガイドライン)
拘束性(間質性肺炎 など)肺がかたく・小さくなり、ふくらみにくい。量(横幅)が小さいが、気道は通るので1秒率は保たれる(むしろ高め)。%肺活量が下がる。(ERS/ATS 2022・日本呼吸器学会)
上気道閉塞(気管狭窄・声門下狭窄・腫瘍 など)のどや気管など「太い空気の通り道」がせまくなる。どんなにがんばっても流量が一定以上出ず、曲線のてっぺんが平らにちょん切られる(プラトー)。1秒率は正常に近いことも多く、1秒率だけでは見のがしやすい。FEV1(mL)÷PEF(L/分) が 8 より大きいと疑う(ERS/ATS 2022)。
平らになる場所で3つに分ける(ERS/ATS 2022):固定性=吸う側も はく側も平ら/胸郭外の可変性(声帯など)=吸う側だけ平ら/胸郭内の可変性(気管の下のほう)=はく側だけ平ら。ゲームでは はく側(呼気)の曲線だけを描いているので、はく側が平らになる例(固定性の気管狭窄)として出しています。本当は吸う側の曲線(フローボリューム「ループ」)も見て判断します。
混合性両方の特徴がある(%肺活量80%未満かつ1秒率70%未満)。このゲームでは出題しません。(標準手順書)
検査として「よく測れた」の基準(妥当性)
| チェック | 基準(ATS/ERS 2019・国内の標準手順書) | ゲームでは |
| 立ち上がり | 外挿体積(BEV)が FVC の5%、または 0.100 L のどちらか大きい方より小さいこと | 「はいて!」の1回目と2回目の間があくと BEV が増え、PEF が下がる |
| ためらい | 最大吸気からはき始め(時間0)までは 2秒以内が望ましい | メーター満タンから「はいて!」まで2秒をこえると「ためらい」 |
| はき終わり | 1秒以上、量の変化が0.025 L 未満(プラトー)/または呼気時間15秒/または前の最大FVCと再現性の範囲内 | プラトーの前に連打をやめる・「すって!」を押すと「はき終わり不良」 |
| 続けすぎ | 15秒をこえる呼気が判断を変えることはまれで、何回も長くはかせるのは、ふらつき・失神・強い疲れ・不快感の原因になる。患者さんがつらそうなら検査を止める(ATS/ERS 2019)。はき切ったら、マウスピースをくわえたまま大きく吸ってもらう(FIVC) | 閉塞性以外でプラトー後も約2.5秒続けると、患者さんが「すって・はいて」して失敗(ゲームのルール)。閉塞性の人は時間がかかるので失敗にしない |
| 最大吸気 | はく前に最大まで吸うこと(FIVC − FVC が 0.100 L と FVC の5% の大きい方以下) | メーター90%未満で「吸気不足」(90%はゲーム設定)→ FVC が小さくなる |
| 再現性・回数 | よい検査を3回以上。最大と2番目の FVC・FEV1 の差が0.150 L 以内。成人では一般に8回まで | 時間の都合で2回だけ。2回とも合格で差が0.150 L 以内ならボーナス |
上手に測るコツ(技師の声かけ)
準備いすにすわり背すじをのばす。ノーズクリップで鼻をとめ、マウスピースのすき間から空気がもれないようにしっかりくわえる。まずはふつうの呼吸を何回か。(ATS/ERS 2019・標準手順書)
「大きく吸って〜、いっぱい、いっぱい!」最大まで吸ってもらう。吸い足りないと FVC が小さく出てしまう。(ATS/ERS 2019)
「はいっ! 一気に!」満タンになったら、まよわずに「ふーっ」ではなく「パッ!」と爆発させるようにはいてもらう(ATS/ERS の言う "blast")。
「まだまだ! もっと! はき切って〜!」はき終わりまで声かけを続ける。閉塞性の人ははき切るのに時間がかかる。終わったら大きく吸ってもらうことも。(ATS/ERS 2019)
くり返しと見きわめ3回以上、同じくらいの値が出るまで行う。グラフの形(立ち上がり・プラトー)を見ながら、無理をさせすぎない。(ATS/ERS 2019)
測りまちがいに注意吸い足りない・途中でやめると FVC が小さくなり、拘束性とまちがえることがある。だから「質」のチェックが大切。(ATS/ERS 2019)
感染対策と体調のチェック
感染対策フィルターは1人ごとに使い捨て、マウスピースも1人ごとに交換(使い捨て、または消毒)。部屋の換気をよくし、検査する人はマスク・フェイスシールドを使う。手でさわる所は清拭・消毒(消毒用エタノール、0.1%次亜塩素酸ナトリウムなど)。(日本呼吸器学会ほか 2023)
体調が悪い時は熱がある・感染症がうたがわれる時は、検査を中止または延期することがある。検査前に体調をよく聞く。(日本呼吸器学会ほか 2023・標準手順書)
無理をしない思いきりはく検査は胸やおなか・頭に力がかかる。急性心筋梗塞から1週間以内など、検査を見合わせる場合がある。検査中に痛み・めまい・胸の痛みなどが出たら中止して休む。(ATS/ERS 2019・標準手順書)
ゲームで単純化したところ
- 曲線の形は「患者さんのタイプ」で決まり、操作は検査の質(妥当性)だけに影響します。実際の曲線は人によってもっと多様です。
- %肺活量は本来ゆっくりはく「肺活量(VC)」で計算しますが、ゲームではFVC で代用しています。予測値はゲーム用の設定です(本来は日本呼吸器学会の基準式で、性別・年齢・身長から計算)。
- 検査は本来3回以上ですが、ゲームでは2回です。はき終わりまでの時間は、待ち時間を短くするため画面上で早送りしています(表示の秒数は検査の時間)。
- 押し直しまでの時間を「勢い」、メーター満タンでの待ち時間を「ためらい」として表しています。外挿体積(BEV)はボリュームタイム曲線から計算しています。
- 気管支拡張薬の前後比較、混合性、正常下限(LLN)による判定は扱っていません。
参考文献
教育用です。ゲームの結果はゲーム用の換算で、実際の検査値ではありません。基準値・判定は施設・年齢・身長・性別などで変わります。実際の検査は施設の手順書に従ってください。